4月9日土曜日、朝の東京駅に5人の女子メンバーが集結する。
前夜の獺祭バーでのおかわりがどんより残った気分の私も、どうにか駆けつける。2016年飛鳥・吉野吟行の始まりだ。行く手に待つ古都と桜に思いをはせつつ、新幹線は西へ向かう。桜の花を求めてのこの吟行、車窓の山々や途中駅でも、桜が気になる。
京都駅で先発していた今回の旅のコーディネーター兼引率者のI田氏と無事落ちあい、車中での昼食を買い整えて、近鉄特急で飛鳥へ向かう。もっとも昼食と言いつつワイン、ビール、梅酒などを荷物に潜ませる人もいて、この先の道中に期待が膨らむね。唯一男子のI田氏は警戒してコーヒーを買ってたけど、結局R子さんに勧められるままにワインに移行。
飛鳥では去年もお世話になったペンション飛鳥にご挨拶して荷物を預けて、古都散策をスタートする。貸自転車で回ろうとの提案に、自転車の運転に自信のないメンバー(私だけど)からの反対があり、結局バスで目的地に行って、あとは徒歩で戻るルートとなる。
まずはバスで甘樫丘(あまかしがおか)へ。今は公園として整備されているが、日本書紀に誓盟の神が鎮座したと書かれ、大化の改新以前は蘇我蝦夷と蘇我入鹿の親子が丘の麓に邸宅を構えていたという。展望台からは、天香久山、畝傍山、耳成山の大和三山が見渡せる。
菜の花畑やレンゲ田が続くのどかな飛鳥の道をぶらぶら歩いて、次の目的地は亀石だ。普通の民家の間に唐突にある亀石、隣のお土産屋さんには巨大椎茸が売られていた。
古くから栄えた地域だけに、色々な言い伝えや遺構がのこされている飛鳥、鬼の俎と鬼の雪隠と言う生活感あふれたネーミングの巨石は、どうやら元は古墳の中の石室だったらしい。この辺りにあるこんもりした丘の多くは、古墳なのかもね。
散策路は、猿石が並ぶ吉備姫皇女墓を経て、梅山古墳(檜隈坂合陵(ひのくまのさかあいのみささぎ))へと続く。どちらも宮内庁の管理下にあって、外から眺めることしかできない。
そろそろおなかもすいてきたところで、宿に戻ることにする。途中の道の桜は終盤で、しきりと花びらを散らしている。
夕食は六時からペンション一階のレストランにて。たくさん歩いておなかペコペコの一同、ビールやワインや日本酒と共に美味しく平らげる。
そして夕食後の句会は一人七句出しの八句選。ぬかりなく調達してきた飲み物やおつまみ片手に、大いに盛り上がる。
翌日、朝食を済ませて飛鳥駅からいよいよ吉野山へ向かう。花の見ごろの日曜日だからそれなりの人出は覚悟していたものの、予想を上回る人波、バスの列に並んで中千本公園まで行き、そこから徒歩で水分(みくまり)神社へと昇っていく。結構な急坂もあり、今年もH子さんはいつの間にか手ごろな杖を手にしている。
ものすごい人並が歩く坂道ではあるものの車両通行止めではないらしく、時折タクシーやレンタカーが行きかう。結構怖い。それでも頑張って登っていくとひときわ見晴らしの良い広場があり、しばし足を休めて記念撮影。
吉野水分神社は、歴史を感じさせる黒ずんだ建物に囲まれた中庭に、あでやかな枝垂桜の古木が一本あり、今を盛りと咲き誇っている。一同歴史に思いを馳せながら、参拝する。 ここからは下り坂、上り道も大変だったけれど、下り坂もきつい。それでものぼりよりは短時間でバス停のあたりまで降りてきて、昨年と同じレストハウスでランチにする。お疲れ様のビールが喉にしみわたるね。
竹林院の庭を散策し、さらに人混みを増す参道を通り抜けて、最後の目的地は修行の寺である金峯山寺へ。花供会式の行事が気になったものの、そろそろ時間切れ。あとは山を下って、まだまだ花の残る下千本を抜けて吉野駅へ。
近鉄で京都駅まで戻って、しばしの自由時間。自宅などへのお土産を買う人、駅内の店で短期決戦とか言いながら生ビールを飲む人(おひささんと私ね)とそれぞれで、最後は駅ホームで集合する。
帰りの新幹線の中では二回戦の句会、さすがに疲れが出たか無季句も飛び出し(私だけど)、厳しい指導が入る。ともあれ車中での句会も飲食も楽しんで、一路東京へと向かうのであった。
~今日の俳句~
亀石のまなぶたの影春うらら
のどけしやゆるきカーブの明日香村
春暑しみささぎまでの石階段
<新幹線改札内で買えるプレミアムサンド、右端のゴボウサンドが好き>
<車内販売で調達した迎えビール~、おひささんは朝からウィスキーだ>
<京都からの近鉄特急車内で、ランチ>
<まだ桜が残る甘樫丘からは大和三山が見渡せる>
<飛鳥散策、これが亀石>
<猿石>
<古墳の鳥居が白くまぶしい>
<女子部屋では隙を見てはビールを開ける>
<ペンションのディナータイム>
<吟行だから、ちゃんと句会もやってるという証拠写真>
<さわやかな朝食、でもおひささんと私はすでに部屋でモーニングビールを済ませてるのだ>
<これが吉野山の桜、photo by R子さん>
<水分神社、妖艶な枝垂桜が咲き誇る>
<ランチの乾杯!>
<竹林院のお庭も、はずせない散策ポイント>
<なぜかよく俳句に詠まれるダラスケ丸>
<金峯山寺で修験者の列と遭遇>
<吉野駅まで降りてきて、お疲れ様の乾杯!>
<特にお土産を待つ人もいないおひささんと私は、京都駅で乾杯!>
<そして帰りの新幹線~♪>
<さらに車内販売でビールやワインを補充して、東京へと向かうのであった>